【men】2度目の五輪へ調整着々、金メダリスト大野将平の戦いぶりに注目
リオ五輪73kg級王者・大野将平の戦い ぶりが最大のみどころだ。大野は五輪後充 電期間を長くとったが、8月のアジア大会では難敵アン・チャンリン(韓国)を破っ てみごと優勝。アンはその後大野不在の世 界選手権で圧勝しており、着々調整の歩を 進める大野は現時点で既に実力ナンバーワ ンと言える。ライバルの橋本壮市不在の中、 今大会で代表レースの優位を確定してしまいたいところ。内股、大外刈で投げつける 豪快な柔道の披露に期待だ。対抗馬は日本 勢、もと66kg 級世界王者海老沼匡と講道 館杯 3連覇の新鋭立川新が大野打倒と代表 レース参戦に腕を撫す。
81kg級は爆発的な投げを武器に今春ブ レイク、しかしアジア大会と講道館杯では あまりの勝負度胸の良さゆえに自爆を繰り 返した佐々木健志と、膝の負傷で戦列を離 れていたもと世界王者永瀬貴規による「出 直し」が大きなテーマ。海外勢の顔ぶれも 凄まじいこの階級、実績では昨年度世界王者ヴィーチェルツァク(ドイツ)や 大会連 覇を狙うオトゴンバータル(モンゴル)ら の名前が挙がるが、ひときわ注目はアルバ イラク(トルコ)。ジョージアからギリシャ と移籍を繰り返しついに爆発、世界選手権 では豪快な投げを決めまくって 3位に入賞 した新たな主役候補だ。


男子・日本代表選手
73kg級:大野将平(旭化成)、立川新(東海大3年)、海老沼匡(パーク24)、野上廉太郎(筑波大2年)
81kg級:佐々木健志(筑波大4年)、小原拳哉(パーク24)、佐藤正大(自衛隊体育学校)、永瀬貴規(旭化成)
【women】57kg級は世界選手権越える最強陣容、王者芳田司がその中核
57kg級のレベルが凄まじい。2018 年度 ワールドツアー最強、下手をすると世界選手権すら飛び越えるタフな陣容だ。一皮剥 けた強さで9月の世界選手権を獲った芳田 司と、これも圧倒的な強さでアジア大会を 制した玉置桃の日本人2人がその中核、さらに今季前半戦国際大会全勝の出口クリスタ(カナダ)、昨年度世界王者ドルジスレン (モンゴル) 、リオ五輪の覇者シウバ(ブラジル)と主役級が目白押し。脇を固める層にも母親となって復帰したパヴィア(フランス)らツアー優勝クラスの強豪がひしめく。 このまま芳田が時代を作るのか、再び混戦 模様が訪れるのか、大げさでなく 2020年までの57kg級の運命を決める大会だ。
63kg級は素晴らしい出来で世界選手権 銀メダルに輝いた田代未来に、リオ五輪王 者トルステニャク(スロベニア)が同大会 のリベンジを期す。田代はアグベニュー(フランス)との二強時代を作りかけており、その成否が掛かるのが今大会。追うのは鍋 倉那美とトライドス(ドイツ)。
70kg級は世界選手権連覇の新井千鶴、 同3位の大野陽子、アジア大会を制した新 添左季の日本勢が実績で海外勢を圧倒。昨年ワールドマスターズを制したポーテラ (ブラジル)がここに割って入らんとする構図だ。


女子・日本代表選手
57kg級:芳田司(コマツ)、玉置桃(三井住友海上火災保険)、富沢佳奈(東海大1年)、舟久保遥香(三井住友海上火災保険)
63kg級:田代未来(コマツ)、鍋倉那美(三井住友海上火災保険)、土井雅子(JR東日本)、能智亜衣美(了德寺学園職)
70kg級:新井千鶴(三井住友海上火災保険)、大野陽子(コマツ)、新添左季(山梨学院大4年)、田中志歩(環太平洋大2年)
-執筆・写真提供 古田英毅(ejudo)-
2018年11月19日現在